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チャチャチャ理論

8月10日のサイエンスにThe Cha-Cha-Cha- Theory of Science Discoveryという記事がありました。科学的発見はCharge, Challenge, Chanceの3種類に分けられるという話です。

Charge:現象は明らかだがそれを説明する方法がわからない問題を解いた
Challenge:つじつまの合わないことをまとめて新しい理論で説明した
Chance:だれも気づかなかったことに気づき、その重要性を説いた

Chargeの一例は万有引力の法則を発見したニュートンだそうです。物が落ちるということは皆知っていましたが、2つの物体間に重力という力が働くということはニュートンがはじめて言ったことです。Challengeの例にはアインシュタインによる特殊相対性理論、Chanceの例にはパスツールによる嫌気性細菌の発見などがあげられています。

また、多くの重要な科学的問題はひとつの発見によって解決されたわけではないそうです。重要な科学的発見をするためには、多くの独創的な発見と問題を解決するまで固執し続ける姿勢が要求されるといいます。例えば、ニュートンは万有引力の法則を完成させるに先立ってまず運動の法則をプリンキピアにまとめました。

そして、大きな発見のためには心構え (prepared mind)が必要だそうです。その心構えとは、問題に対する好奇心と、問題に関するたくさんの知識のことだそうです。


意識の問題は、意識そのものはだれにとっても最も身近なものなので、Chargeに分類されるのでしょうか。とはいえ、その問題を解くための基盤となるだろう脳に関する理論はまだ未整理な状態なので、Challengeに分類される研究も不可欠でしょう。さらに今ある知見だけからより良い脳の理論を構築しようとしても部品が足りなくなるでしょうから、Chanceに分類される研究も必要になると思います。

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2007.08.24 | | Comments(2) | Trackback(0) | 論文の紹介

フルカラービジョンマウス

遺伝子操作によりマウスには本来備わっていない光色素を持つマウスを作り、色知覚が通常のマウスとどのように違うかを調べた論文が、先週のSCIENCEに掲載されていました。

私たちが色を知覚できるのは、異なる光の波長に応答できる視細胞を3種類持っているからです。短い波長に応答する視細胞はS錐体、中間の長さの波長に応答する視細胞はM錐体、長い波長に応答する視細胞はL錐体と呼ばれています。私たち以外の霊長類も3種類の錐体細胞を持っています。けれども、マウスを含む他のほ乳類は2種類、S錐体とM錐体しか持っていません。そのため、私たちとは色彩感覚がだいぶ異なっているのではないかと考えられています。

この論文ではマウスにヒトのL錐体の光色素遺伝子を発現させて、どのように色を知覚するようになるのかを調べています。その結果、SとMしか持たないマウスは500nmの光(緑)と600nmの光(赤)を区別できなかったのに対し、S、M、Lの三つの錐体をもつ遺伝子改変マウスは500nmと600nmを区別ができるようになりました。さらにもっと細かい波長の違い(たとえば580nmと600nm)も区別できるようになりました。ちなみに、M錐体は510nm付近の光にもっともよく応答し、L錐体は560nm付近の光にもっともよく応答するそうです。

錐体細胞の種類をひとつ増やしただけで異なる色知覚を持ったということは、新しいセンサ(L錐体)をうまく使えるような、普通のマウスとは異なる脳のネットワークが形成されたということです。錐体細胞以外の遺伝子は変えていないので、脳のネットワーク自身に新奇のセンサを活用できるような可塑性が備わっていると考えられます。
このことから霊長類へ進化したときのことを考えてみると、まずはじめに錐体細胞が2つから3つに増え、そのあとで新しい錐体細胞から得られる情報をより上手に利用できる脳内ネットワーク関連の遺伝的変化が生じたのではないか、とのことです。

2007.03.27 | | Comments(6) | Trackback(0) | 論文の紹介

fMRIに含まれるニューロン群の情報について

Functional imaging and neural information coding


後輩のUくんが紹介してくれたfMRIのボクセルの情報とニューロンの情報の関連を考察しているモデル研究です。
fMRIの一ボクセルにはもちろん多数のニューロンが含まれます。それらのニューロンは何らかの特徴に反応します。そのチューニングカーブをガウシアン状に仮定します:

neuron.png


θが感覚刺激などの特徴量で、例えば視覚刺激のバーの方向などを考えれば良いでしょう。θpがそのニューロンのpreferred stimulusです。こんなニューロンの活動が集まって一つのボクセルの反応となります。ひとつのボクセル内のニューロンの分布は、

voxel.png


であると仮定します。θpハットがそのボクセルのpreferred stimulusです。

さて、このようにモデルを立てたとき、fMRIの信号からニューロン群の持つ情報をより適切に測るメジャーは何でしょうか、というのがこの論文の主題です。

メジャーには3種類あって、フィッシャー情報量とシャノン情報量とfMRIの信号変化量です。この論文でいうフィッシャー情報量は、刺激が与えられたときに得られた反応から、どれだけ刺激を識別しやすいかを測る値です。シャノン情報量は刺激と反応の不確かさを測る値です。

結論だけ簡単に言いますと、σfやσpなどのパラメータによって、どのメジャーが良いかが変わり、一概にfMRIの信号変化量が大きいからといって、情報が沢山乗っているわけではないですよ、ということです。


【“fMRIに含まれるニューロン群の情報について”の続きを読む】

2006.04.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | 論文の紹介

神経回路のダイナミクス

Neural Network Dynamics

先週、宮◯さんが紹介してくれた神経回路のダイナミクスのレビュー論文です。

覚えている範囲で書きます。まずネットワークを構成するニューロンのモデルは2つあって、一つはFiring-Rate modelで、もう一つはIntegrate-and-Fire modelです。Firing-Rate modelは発火頻度rが線形一次のダイナミクスで定常状態に収束するモデルで、

τ dr/dt = -r(t) + F()

です。F()の引数には他のニューロンからの入力や自発発火、それ以外の外部入力が入ります。Firing-Rate modelは沢山のニューロンがあり、それらが非同期の活動をしていて、時定数τの間は定常であるという仮定の上になりたっているそうです。実際のニューロンで非同期性を検証するには、情報幾何とかunitary event analysisというものが必要らしいです。
Integrate-and-Fire modelは発火頻度ではなく膜電位Vのダイナミクスに注目したモデルで、

τ dV/dt = - V(t) + ...

です。

神経回路のダイナミクスは、主に3種類あって、Sustained ActivityとOscillationとChaosらしいです。
Sustained Activityというのは、たとえば、固視点に注視していてキューが出たら8方向のどれかにサッケードするいうタスクで、方向が指示されてからキューを出るまでに遅延があると、実際にサッケードするまでにDLPFCのニューロンの活動が(なんの入力もなしに)持続するという系統のものです。この活動をFiring-rate modelのニューラルネットワークで再現できるらしいです。理論と実験が合致しているのはこれだけで、後の話はまだ実験と結びついているわけではないそうです。

どのようにネットワーク上を信号が伝わっていくかというモデルの話もあって、一つはAvalanche(雪崩) model で、もう一つはSynfire Chainというものです。Avalanche modelというのは一つのニューロンが発火すると雪崩式にどんどん情報が伝わっていくというもので、そのままだと発散してしまうのでなんか適当に制約条件を決めたりしているみたいです。Synfire Chainというのは、フィードフォーワードの層構造のネットワークモデルで、層内でのニューロン結合はないというものです。入力層に刺激が入ったときにそれが最後の層まで伝わるかどうかを議論するモデルみたいです。


【“神経回路のダイナミクス”の続きを読む】

テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2006.04.19 | | Comments(2) | Trackback(0) | 論文の紹介

錯視とベイズ

Motion illusions as optimal percepts

今日の輪講で紹介した論文です。運動知覚の錯視をベイズで説明できるという内容です。

菱形の図形が実際は横に動いているとします。細い菱形は背景とのコントラストが高いと横に動いているように見えて、コントラストが低いと斜めに動いているように見えてます。太い菱形はコントラストが高くても低くても横に動いているように見えます。ちなみにここにその視覚刺激があります。いままではこの現象について二つの理論の組み合わせによる説明がされていました。でもそれだとちょっと視覚刺激が変わっただけで統一的な説明できなくなってしまいます。もっと運動の錯視を説明できるグローバルな理論はないかということでベイズ推定の登場です。

今、推定したい値は画像Iが与えられたときの菱形の速度vなのでベイズの枠組みでは、

 P(v|I)P(I|v) P(v)

と書けます。
尤度P(I|v)は今の画像と微小時間変化したときの画像がほとんど変わらないという条件にガウシアンノイズを加えたものから導かれた正規分布です。
事前分布P(v)は、視覚入力はほとんど動かないはずという事前知識に基づいて、原点(速度ゼロ)を中心としたガウシアンを仮定しています。
そしてMAP推定により最適なvを求めます。

このモデルで他の先行研究のデータも説明できると言っています。
また、ベイズ推定は視覚入力の信頼度と事前知識とのバランスを考慮した推定なので、様々なパラメータの視覚刺激が与えられてもこのモデル一つですべて説明できるという美しさがあります。

私たちは最適化された知覚システムを持っていて、その仕組みの説明にはベイズ推定が適しているようです。普段はそのシステムが十分強力に働いて、あいまいな視覚入力を環境に合うように適切に解釈しています。そして錯視はそのシステムが最適なためがゆえに起こる現象と言えます。

テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2006.03.24 | | Comments(0) | Trackback(0) | 論文の紹介

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