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fMRIに含まれるニューロン群の情報について

Functional imaging and neural information coding


後輩のUくんが紹介してくれたfMRIのボクセルの情報とニューロンの情報の関連を考察しているモデル研究です。
fMRIの一ボクセルにはもちろん多数のニューロンが含まれます。それらのニューロンは何らかの特徴に反応します。そのチューニングカーブをガウシアン状に仮定します:

neuron.png


θが感覚刺激などの特徴量で、例えば視覚刺激のバーの方向などを考えれば良いでしょう。θpがそのニューロンのpreferred stimulusです。こんなニューロンの活動が集まって一つのボクセルの反応となります。ひとつのボクセル内のニューロンの分布は、

voxel.png


であると仮定します。θpハットがそのボクセルのpreferred stimulusです。

さて、このようにモデルを立てたとき、fMRIの信号からニューロン群の持つ情報をより適切に測るメジャーは何でしょうか、というのがこの論文の主題です。

メジャーには3種類あって、フィッシャー情報量とシャノン情報量とfMRIの信号変化量です。この論文でいうフィッシャー情報量は、刺激が与えられたときに得られた反応から、どれだけ刺激を識別しやすいかを測る値です。シャノン情報量は刺激と反応の不確かさを測る値です。

結論だけ簡単に言いますと、σfやσpなどのパラメータによって、どのメジャーが良いかが変わり、一概にfMRIの信号変化量が大きいからといって、情報が沢山乗っているわけではないですよ、ということです。


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2006.04.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | 論文の紹介

神経回路のダイナミクス

Neural Network Dynamics

先週、宮◯さんが紹介してくれた神経回路のダイナミクスのレビュー論文です。

覚えている範囲で書きます。まずネットワークを構成するニューロンのモデルは2つあって、一つはFiring-Rate modelで、もう一つはIntegrate-and-Fire modelです。Firing-Rate modelは発火頻度rが線形一次のダイナミクスで定常状態に収束するモデルで、

τ dr/dt = -r(t) + F()

です。F()の引数には他のニューロンからの入力や自発発火、それ以外の外部入力が入ります。Firing-Rate modelは沢山のニューロンがあり、それらが非同期の活動をしていて、時定数τの間は定常であるという仮定の上になりたっているそうです。実際のニューロンで非同期性を検証するには、情報幾何とかunitary event analysisというものが必要らしいです。
Integrate-and-Fire modelは発火頻度ではなく膜電位Vのダイナミクスに注目したモデルで、

τ dV/dt = - V(t) + ...

です。

神経回路のダイナミクスは、主に3種類あって、Sustained ActivityとOscillationとChaosらしいです。
Sustained Activityというのは、たとえば、固視点に注視していてキューが出たら8方向のどれかにサッケードするいうタスクで、方向が指示されてからキューを出るまでに遅延があると、実際にサッケードするまでにDLPFCのニューロンの活動が(なんの入力もなしに)持続するという系統のものです。この活動をFiring-rate modelのニューラルネットワークで再現できるらしいです。理論と実験が合致しているのはこれだけで、後の話はまだ実験と結びついているわけではないそうです。

どのようにネットワーク上を信号が伝わっていくかというモデルの話もあって、一つはAvalanche(雪崩) model で、もう一つはSynfire Chainというものです。Avalanche modelというのは一つのニューロンが発火すると雪崩式にどんどん情報が伝わっていくというもので、そのままだと発散してしまうのでなんか適当に制約条件を決めたりしているみたいです。Synfire Chainというのは、フィードフォーワードの層構造のネットワークモデルで、層内でのニューロン結合はないというものです。入力層に刺激が入ったときにそれが最後の層まで伝わるかどうかを議論するモデルみたいです。


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テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2006.04.19 | | Comments(2) | Trackback(0) | 論文の紹介

ブレインワイズ 6章

「6章 認識論とは」です。

1.プラトンの譲歩
認識論とは、「知とは何か」「知はどこからくるのか」の二つを通して知の本質を追求する学問である。認識論について歴史的に二つの学派がある。プラトンとアリストテレスである。プラトンは「数学こそ知の頂点」と考え、抽象的な思考を重視した。いっぽう、アリストテレスは自然科学的方法論を重視した。知覚と記憶は実験と観察によって調べることが可能と考えたのである。そして、ルネッサンスになって多くの科学的発見がなされると次第にプラトン主義は衰えていった。

2.心の科学と認識論
「心理学にはアリストテレスの時代からのほぼ2千年間、ほとんど画期的な進歩は無かった」。19世紀にブントが実験データに基づいた心理学を提唱した。そして、形而上学へのこだわりを捨て、内省と論理だけでは心の理解には不十分と主張した。さらに、「意識は無意識のレベルで産生されたものの合成によって生じる」と説いた。しかし、このような見方は哲学から軽視され続けている。

3.ダーウィンの革命
知覚や学習が進化の産物だとすれば、進化論を無視することはできない。しかし、哲学における認識論は、ダーウィンを無視する形で進んでいる。
ダーウィンは、生物が長い年月において「特定の環境化で生きるための有利な特徴が次の世代に伝えられる」と考えた。そして、「時には変異が起こり、全く新しい種が生まれることがある」ことに気がついた。ただ、自然淘汰で選択されるのは、能力ではなく個体全体である。長所も短所も受け継がれるのである。
ヒトとチンパンジーのDNAは98%以上同じであり、マウスとですら90%ほど同じである。行動上の類似点もある。ヒトの赤ちゃんもサルやマウスの赤ちゃんも酸っぱいものを口にすると顔をしかめる。恐怖や喜びなどの情動表現は種間で共通点が見られるのである。
「伝統的な哲学では、心の働きについての知は先見的なものであって、それを得る方法は演繹や内省以外にはないとされてきた」。では、進化生物学的にその知の獲得を説明できるのだろうか。そうした能力が進化の過程で選択されてはおらず、経験的に学習しなくてはならないのは明らかだ。

4.守旧派の抵抗
実験データに基づかない古典的認識論は今でも消滅していない。それには2つの理由がある。第一に20世紀になるまで神経科学が認識論を扱えなったからであり、第二に論理学が発展したからである。

4.1 心と脳の自然科学の障壁
第一の理由は技術的な問題に因るところが大きい(一章でも述べられている)が、それと関連して概念レベルの問題がある。「追求すべき問題についての十分な概念がないため、適切な問いを立てることができないのである」。概念のレベルで間違っていると真実を誤認してしまう。心と脳の問題は概念レベルでもハードルが高い。だから、古来より思弁的になる傾向が強い。仮説なしの観察・実験はあり得ない。科学的データを無視した認識論は馬鹿げている。たとえ乏しいデータであったとしてもそれをなんとか活かすことと、全く無視することでは大違いである。

4.2 論理的認識論
第二の理由については、認識論の巨人、哲学者ムーアの存在を無視できない。「ムーアは「常識」を重視した」。ムーアのいう「常識」とは、言葉の真の意味に細心の注意を向けることで到達できる理解のことをさし、これに反した科学や哲学に疑問を投げかけた。しかし、言葉の意味を探求すれば本質が明らかになるという誤解を生んだ。そして現代論理学によって、「哲学は心と脳の科学から分離される方向に向かった」。けれども、論理的に真でも実際に正しいかどうか証明する必要がなくなったわけではない。カルナップは「公理はその定義上、真であるから、そこから導かれた定理も真であることは保証されている」と主張した。カルナップは科学を顧みず言葉の意味の分析を重視した。このアプローチを論理実証主義という。論理実証主義は数学との整合性が重視され、心理学との整合性は重視されなかった。方法論として思考実験が重視されたのである。しかし、1931年に「数学的理論は不完全であり、決して完全にはなり得ない」というゲーデルの不完全性定理が提出された。これによって論理学によるアプローチの土台が崩れてしまった。結局、カルナップの試みは斬新であったが得るところがほとんどなかった。それでも哲学者は思考実験を重んじた。ウィトゲンシュタインを始祖とした「意味の分析」によって「概念的必然」や「概念的真実」を解明しようと試みた。しかし、「意味の分析」は実体に欠けることが多かった。ファイヤーアーベントは次のように反論している。「あるものの意味についての分析によって明らかにされることは、ある人々が、ある場所で、ある時に、そのものについて信じることにすぎない。そのものについての真実については明らかにされ得ない」。クワインも意味の分析について鋭く反論している。

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2006.04.16 | | Comments(0) | Trackback(0) | ブレインワイズ

ブレインワイズ 5章

今日は「5章 自由意志」です。

1. 意志と罰
報酬と罰は人間の行動に影響を与える。報酬と罰がある社会のなかで円滑に行動するためには、自分の行動をコントロールできなくてはならない。自由意志や責任についての考え方は、意思決定の神経メカニズムが解明されるにつれて変わるのだろうか。

2. 行為の原因と自由意志
昔から、行為の結果に責任があるかどうかはその行為の原因によると考えられてきた。自由意志による選択とは、他に原因がなく自分で決定した行為ということになる。では外的な原因なき選択(これをリベラタリアニズムという)とは本当にあるのだろうか。ヒュームはリベラタリアニズムを否定した。人間の選択には心の中に何らかの原因があるに違いないという。それは「欲求」や「信念」と呼ばれるものである。
ここで押さえておかなくてはならないのが、原因があるからといって予測できるわけではないということである。意志決定に関わる脳活動にもすべて原因があると思われるが予測できるわけではない。

3. 自由意志についての旧説
「原因が本人の内部にあれば、それは自由意志による行為である」というのは誤りである。ハンチントン病の原因は線条体の異常によるものだが、患者の欲求や意図に無関係に不随意運動が生じてしまう。

「本人が行為の意図を意識していれば、それは自由意志による行為である」というのも誤りである。強迫性障害の患者には行為の欲求や意図があるが、どうしてもその行為をやめられない。

「自由意志による行為には、本人にその実感がある」というのも誤りである。日常では、ちょっとした影響が無意識に自分の行動を決めている場合が多々ある。

「別の行為をとることができたかどうかが、自由意志による行為かどうかの基準である」。これはそもそも循環論法である。

4. 意志決定の神経生物学に向けて
自由意志による行動かそうでないかの境界は曖昧である。とくに「脳のメカニズムが解明されるにつれて、どんどん曖昧になってきている」。自由意志に関連する脳部位のなかで重要と考えられているのは、前部帯状回、海馬、島、前頭葉腹側皮質などである。帯状回が損傷した患者は意識があるのに自発的な運動ができなくなってしまう。セロトニン、ドーパミン、エピネフリンなどの神経修飾物質も自由意志になんらかの影響を及ぼしている。「意志の神経機構の詳細はまだまだ不明である」が、神経科学が進めば「最終的には、自己コントロールの範囲内にある行為と範囲外にある行為を、神経科学によって区別できるようになることが期待される」。
理性が感情に勝てば正しい意思決定ができる(カントの倫理哲学)かどうかというと、そうではない。意思決定を行うためには自己の行動の帰結を予想する必要がある。そのとき自己の反応も予測しなくてはならない。自己の「反応の予測のためには感情が必要なので、結局は感情が自己の言動を左右する」。
「正しい意志決定のためには感情の役割が非常に重要であることが明らかにされている」。前頭葉腹内側部に損傷がある患者は理性のレベルでは損得を理解しているが、実際の行動では目先の利益にとらわれてしまう。この患者は知識や短期記憶も正常である。しかし、健常者で判断行動時に見られる皮膚電気反応が得られない。これは情動に関連したデータである。つまり、この患者は意思決定時に関わる情動が欠落しているために意思決定がうまく行えないのである。「複雑な決定を下すべき前頭葉が、複雑な状況や計画や考えについての情動的な価値についての情報にアクセスできない」のである。情動は行動選択のまえに無意識に私たちの判断に影響を与えていて、なぜ選択しかた説明できるのはその後なのである。
「人は行動を選択する前に、その結果を予測し、評価する」。通常は「認知と情動を別と考えるのであるが、脳という観点からすれば、両者を単純に切り離すことはできない」。

5. 理性を学習する
理性的な判断は経験に基づいて身につけたものである。理性的という概念を学習するためには情動の働きが必要である。扁桃体が壊れてしまって恐怖という感情を失った患者は、ごく簡単で論理的に判断できる状況に置いては危険を認知できるが、複雑な社会・対人関係では危険を察知することができない。
ダマシオは情動には「第一の情動」と「第二の情動」があると言った。「第一」は外的な刺激に対する反応で、「第二」は内的に作られた表象や過去の思い出に対する反応である。そして過去の類似した状況と同じような感情を呼び起こすことが意思決定に影響するという。

6. 責任の行方
脳内には必ず行動の原因があるとなると、その行動の責任が当人に本当にあるのだろうか。
結論:「人には責任はあるのだ。もし責任がないとされると、社会は機能しなくなってしまうからだ」。
また責任がないとすれば自らの失敗について悔恨などの感情が生まれず人は成長しなくなってしまう。


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2006.04.12 | | Comments(2) | Trackback(0) | ブレインワイズ

脳の内側

パーキンソン病を調べていたら、大脳基底核の形や位置を知りたくなって研究室に置いてある脳の模型をいじって遊びだしてしまいました。おかげで線条体、視床、海馬の相対的な位置が掴めました。おおざっぱに言うと視床の外側に線条体が隣接していて、その後ろ下側に海馬があるような感じですかね。

大脳の中心部って交通網で言うところの”駅”みたいなところですね。駅は最も人が集まるところですが、大脳の深部は最も情報が集まるところです。知覚感覚入力<->大脳皮質<->海馬の経路を”鉄道”に例えると海馬は終着駅になります。そうするとなんだか大脳<->基底核の接続や、大脳<->大脳の接続が”道路”のように見えてきます。

最近はやりのDiffusion Tensor Imagingで個人個人の神経接続の仕方がわかるようになってきているみたいですし、脳の地図作りも面白そうです。地図を作ることによって機能の理解も深まればもっと楽しいですね。

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2006.04.07 | | Comments(0) | Trackback(0) | 雑記

脳を活かす研究会

今月の4日、5日にATR(国際電気通信基礎技術研究所)で「脳を活かす研究会」が行われました。

おととい(4日)は主に立花隆さん、瀬名秀明さん、日本大学の片山先生に講演でした。

立花隆さんはサイボーグ技術のお話をしました。全く目が見えない人に、人工の目をつけてなんとか視力を持たせようとする人工眼の研究が急速に進んでいるそうです。今は最高100画素程度らしいですが、そのうちもっと画素が増えて文字が読めるようになるでしょうとおっしゃっていました。
人の脳に電極や脳波をつかって機械やコンピュータを動かすブレイン-マシン・インターフェイスの研究がこの何年かで急速に進んでいます。ブレイン-マシン・インターフェイスにおいては、その脳活動が何なのかを詳細に見るというよりも、機械を動かすために脳から必要な情報を引き出すことが重要とのことでした。

瀬名秀明さんは「脳と社会:サイエンスリタラシー」という題でいろいろなお話をしました。私が興味を引いたのはCarl Zimmerという人が書いた『Soul Made Flesh』という本の紹介でした。この本は脳がどのように発見されたかというのを科学史的に紹介している本らしく、昔は脳は不要物と思われていて、17世紀くらいからトーマス・ウィリスの発見などによって脳が心に関連しているのではと考えられるようになってきたそうです。
また科学を一般の人に伝えるのは難しいとおっしゃっていました。なぜなら一般の人は結果を知りたいと思っているのだけれど、実際の科学の結果はあまり白黒がはっきりしないからだということでした。

片山容一先生は脳深部刺激によって不随意運動を治療するというお話でした。不随意運動とはパーキンソン病などで生じる症例で、本人の意思と関係無しに手足が勝手に動いたりする運動です。薬物治療はほとんど成果がなく、関連部位の切除による治療もリスクが大きいため難しいそうです。しかし、脳に電極を埋め込んで刺激を与えれやれば不随意運動が治るそうです。不随意運動をしている人のムービーを見せてくれたのですが、電気刺激のスイッチを入れると嘘のように不随意運動が無くなりました。
いったいどんなメカニズムで不随意運動が生じて、どうして電気刺激で治るのかちょっと興味を持ちました。

1日目は大勢の人が集まって非常にエキサイティングでした。

2006.04.06 | | Comments(4) | Trackback(0) | 雑記

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