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Minsky来日

2週間前になりますが、京阪奈にあるNTTコミュニケーション科学基礎研究所でMarvin Minsky氏の講演会が開かれたので聞きにいってきました。Minsky氏は人工知能の父と呼ばれる人物で、真空管によるニューラルネットの作成、単純パーセプトロンの限界の証明、フレーム理論の提唱などで有名です。

今回の講演は最近発売された著書"The Emotion Machine"の内容みたいでしたが、メインメッセージは『心の社会』でも述べられていたこととほぼ同じだったと思います。つまり、心とはたくさんの心をもたないエージェントの集まりによって生まれるものであるということです。昔に比べて人工知能の研究は様々な領域に分岐し進歩しました。統計学習、強化学習、遺伝的アルゴリズム、自然言語処理などなど。その分岐した領域では、かなり問題を解けるようになりました。でも、それを突き詰めていったところで心を持つような人工知能はできません。Minsky氏がこのように主張する理由のひとつは、心をもった私たちの脳の機能構造にあるみたいです。脳は、視覚刺激を処理する部位、運動計画を行う部位など、機能分化しています。このような部位(エージェント)が集まって心ができているというのです。

またMinsky氏は知能の表現の多重性にも注目していました。講演の冒頭にフロイトを読めよとおっしゃっていました。フロイトが心には異なるレベルがあるということをはじめて主張したからです。フロイトによると心にはスーパーエゴ、エゴ、イドという異なるレベルがあります。Minsky氏も思考について、文、フレームアレイ、絵フレーム、意味ネット、Kラインという異なるレベルがあると考えています。そして脳もエリア、コラム、ニューラルネットワーク、ニューロンといったように異なる表現のレベルを持っています。ほとんどの研究者は思考についてひとつの普遍的な理論を見つけようとしてきましたが、脳は異なる処理と表現をもつ多くの特化した組織から成っているとのことでした。

The Emotion Machine: Commonsense Thinking, Artificial Intelligence, and the Future of the Human Mind The Emotion Machine: Commonsense Thinking, Artificial Intelligence, and the Future of the Human Mind
Marvin Minsky (2006/11/07)
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2006.12.18 | | Comments(0) | Trackback(1) | 雑記

世界の究極理論は存在するか 3問題と解決

3章では、1章で述べられていた科学とは良い説明を見いだすことであるということをふまえ、それに至る過程について書かれています。つまり、科学的な問題があってそれを解決する過程についてです。

まず、科学に対する帰納主義的な考えに対して批判を行っています。

科学的な知識は基本的に観測に基づいて得られる。とはいえ、観測は常に不完全だ。だから科学的推論は観測から論理的演算によって得られるものではない。その代わり、科学的推論を正当化する形式として帰納というものがある。帰納主義的理論は、観測を外挿または一般化して理論を作り、さらなる観測によって理論を正当化する。
しかし、この考え方は根本的に間違っている。最悪の間違いは、一般化された予測は新しい理論に等しいということである。さらに、観測を帰納的に外挿することで新しい理論を形成できるというのも間違いである。観測が予め説明的な枠組みのなかに置かれている場合にはじめて外挿が可能になるのだ。

そして、帰納に代わる説明を中心にすえた科学的発見の道筋について述べられています。

科学的推論と発見は、観測からはじまるのではなく常に問題からはじまるものだ。ここでいう問題とは、不適切で改良を試みるに値するように見える一組のアイデアのことである。問題があれば、憶測により新しい理論の草案が提案される。その草案は実験テストを含む批判にさらされる。ここで向けられる批判の大部分は、理論の予測に対してではなく、理論の根底にある説明に向けられる。もし既存の理論よりも新しい理論の方が支持されれば、新しい理論に置き換えられる。そして、これはまた新しい問題と解決過程の出発点となる。科学を行う目的は、永久に真だと見なされる理論を見いだすことではなく、今手に入る最良の理論を見いだすことなのである。


【“世界の究極理論は存在するか 3問題と解決”の続きを読む】

2006.12.09 | | Comments(0) | Trackback(0) | 世界の究極理論は存在するか

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