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ブレインワイズ 4章 後半

前回のブレインワイズのレビューから2週間も空いてしまいました。
もう少しコンスタントにできないのかと思いつつ今回の分を始めます。

今日は「4章 意識」の後半、
2.心身二元論から科学への挑戦状
です。

生命へのアプローチが意識へのアプローチのアナロジーとなる。生命へのアプローチはどのような変遷をたどったのか。生命に対応する何らかの物質を見つけようとするアプローチ(直接的アプローチ)は失敗した。生命は結局、DNA、RNA、タンパク質などの様々な物質の総合体である。それ以上でもそれ以下でもない。生命とは何かを理解しているということは、その様々な機能や構造を理解しているということである。そして、いくつもの発見(何か一つの実験でというわけではない)が積み重なり、生命の全体像の理解が進むことで、生命の本質とは「生気」であるという「生気説」は消えた。意識へのアプローチも同様の流れをたどるだろうと予想している人たちが間接的アプローチの支持者である。


とはいえ、意識が脳機能からは説明できないという主張がある。ここでその7つの主張を挙げる。

1科学が意識を解明できるとは到底考えられない?
意識は永遠に解答不可能であるというのである。
この主張がどのような議論をもとに成り立っているか公式化するとその論拠の無さが見えてくる。

前提:現象pについて、ほとんど何もわかっていない。
結論:pは将来も決して解明されることは無い。

問題が深淵すぎるためではなく、私たちの知識が乏しいがためにすぎない。

2ゾンビ仮説?
体験の主観的な質(クオリア)だけを持たない人間を考えることができる。つまり、青という主観的な質を感じること無しに「今日の空はとても青い」と言うような人間である。そして、想定することができるということは論理的に存在しうる。だからクオリアを持たない人間は存在しうるから意識は脳とは無関係である。しかし、論理的に可能であっても物理的に不可能な場合がある。論理的可能性によって神経科学を議論することは「全く地に足が着いてない方法」である。

3 問いが難しすぎて解けるはずがない?
意識の問題についてほとんど無知なのに、その問題が難しいかどうかなんて初めからわかる訳がない。まず、問題の難しさの判定が正しいかどうか考慮すべきである。

4 他人の主観的体験を知ることはできない?
この主張の土台は「逆スペクトル問題」にある。「逆スペクトル問題」とは色の感覚が他者と反転していてもそれに決して気がつかないというものである。例えば、同じ色を見ているのに、私は赤と感じ、あなたは緑と感じていているが、言葉にしたら二人とも同じ色の名前を言うため、客観的に主観的体験の違いを捉えることはできない。これもゾンビ仮説と同じく論理的可能性を議論しているにすぎない。今のところ、脳の状態が等しくても体験の質が異なるという例はない。
人間の色のクオリアは三次元であるということがわかっている。それはマンセルの色立体から見てとれる。マンセルの色立体は「人間の主観的な色の相違の感覚によって決められたものである」。人間の網膜には色に反応する3種類の錐体細胞がある。錐体細胞S(青のスペクトル)、錐体細胞M(緑のスペクトル)、錐体細胞L(赤のスペクトル)である。錐体Mと錐体Lが反応する波長にはかなりのオーバーラップがあって、青と緑の間よりも、緑と赤の間の違いを細かく識別できるようになっている。逆スペクトル人はこのような色の境界判別も異なり、「通常の人間にとって似た色が全く違う色に見えることになる」。
外側膝状体では視細胞からの入力が「青 対 黄」、「緑 対 赤」、「白 対 黒」となるように変換される。「青 対 黄」の細胞活動は「錐体M + 錐体L - 錐体S」で表現され、「緑 対 赤」の細胞活動「錐体L - 錐体M」で表現され、「白 対 黒」の細胞活動は「錐体S + 錐体M + 錐体L - 平均の抑制性シグナル」で表現されている。外側膝状体のこの3種類の色彩対立細胞の活動で色のクオリアを説明できるとすればその意味は大きい。「脳の色彩コードのメカニズムが明らかにされるにつれて、他がすべて同じでクオリアだけが反転している人間が存在する可能性はゼロに近づいていく」。

5 人間の認知機能や行動を神経レベルに直接還元するなどできるはずがない?
これは誤解である。神経系はさまざまなレベル(分子、細胞、ニューラルネットワーク、脳の領域、領域間の相互作用)から成り立っていて、どのレベルが重要であるか未だ不明である。神経科学は高次機能を直接神経細胞レベルで説明しようとはしていない。一歩一歩進めていこうとしている。

6 意識は神経レベルではなく原子以下のレベルの現象である?
ペンローズとハメロフは細胞内のタンパク質輸送に関わっている微小管という分子が意識に関与していると考えた。ペンローズによれば数学的思考はゲーデルの不完全性定理を越えたものであり、そのためには量子論的説明が必要であるというのである。その量子効果を担うのが微小管というわけである。しかし、ペンローズとハメロフの説を支持するデータは一つもない。

7 科学はすべてを解明できない?
科学で解明できないことはある。しかし、意識がそうであるかどうかはわからない。


色彩のクオリアと色彩対立細胞は対応関係にあるだろう。しかし、だからといって色彩のクオリアを色彩対立細胞によって説明できるとは限らない。そして、マンセルの色立体から読み取ることができるのは人間の平均的な色彩感覚であって、その人個人のクオリアではない。クオリアとはむしろ個人に特有の体験を語るための概念である。脳の色彩コードのメカニズムが明らかにされれば逆スペクトル問題は意味がなくなるかもしれないが、「なぜ主観的体験が伴うのか」という問いにはいっこうに近づかない。4章のテーマは「意識」であったが、意識についての最もポピュラーで難しい問いについては言及されていないのがいささか残念である。

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テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2006.03.20 | | Comments(2) | Trackback(0) | ブレインワイズ

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2006-03-20 月 21:33:01 | | # [ 編集]

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2006-03-20 月 21:50:39 | | # [ 編集]

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