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「動玉箱の中でなにがなにを?」?

ダグラス・ホフスタッターの著書『メタマジック・ゲーム』の25章「動玉箱の中でなにがなにを?」を今回と次回にわけて取り上げていきます。この物語で「意識」や「自由意志」や「自己」についてのホフスタッターの考えがまとめられていると思います。英語の題名は "Who Shoves Whom Around Inside the Careenium?" です。動玉箱がCareeniumに対応するみたいですが、この単語はcranium(頭蓋)をもじったホフスタッターの造語でしょう。この章では『ゲーデル・エッシャー・バッハ』で活躍したアキレスと亀が再び登場します。

アキレスの次の問いから話が進みます。

アキレス:結局のところ、この頭の中ではいったい誰が誰を動かしているんだろう?
亀:分子が君のすべてなんだよ!
アキレス:君の解釈は逆さまで、分子が僕を動かしているんじゃなくて、本当は僕が分子を動かしているんじゃないかい?


ここから亀の講釈が続きます。亀曰く、「自由意志」とは「脳に備わっている一定の動きをとろうとする傾向の複雑な集まりを指す略語」だそうです。さらに脳を動玉箱というアナロジーを用いて説明しています。
動玉箱の中ではたくさんの小さな玉が高速で飛び交っていて、さらにもっと大きく硬い無機質な細片も動玉箱の中にあり、これが玉の飛ぶ方向に影響を与えている。そして、この無機質な細片を「"し"なやかな"無"機質片」、略して「シム」と呼び、これもぶつかってくる玉に影響をうけてゆっくりと形を変える。動玉箱の中を短い時間スケールでのぞいてみると、たくさんの玉が飛び交っているのが見える。長い時間スケールにすると、小さな玉は速すぎて見ることができず、シムだけが動いているように見える。ときにはシムがひと塊の玉を包み込んで環状構造を作ることもある。これを「シムボール」と呼ぶ。シムボールの配置のことを「記憶」とか「知能」とか「観念」というふうに解釈することもできる。

アキレス:問題は、動玉箱の中のこれらの動脈からは「私」が見えてこない、ということなんだ。
アキレス:魂とかそういったものが入り込む余地はないなんてことは、もうこれまでに何度となく聞かされたさ。だけど、僕には僕がいるということがわかる。これは否定できない「事実」だよ。だから、たんに僕の肉体は物理法則に従うというだけじゃなくてそれ以上の洞察がほしいんだ。この「私」という感じ、僕にも君にもあるけれども、石には「ない」感じ、こいつはいったいどこからくるんだろう?


また亀の説明が始まります。
例えば、動玉箱に人工の目と口がついていて、動玉箱の側で緑色の明かりをともしたとしよう。そうすると玉の活動が始まり、シムボールの再配置が引き起こされる。シムボールが定常位置におさまると「緑色の光が見える」というかもしれない。
知覚というのは、「外にある」なにかを内部に映し出すことである。私たちが知っているのは自分の内部状態のことだけだが、私たちは私たちの知覚を支える脳の内部活動には気がつかないようにできている。そして、外に指し示されるべきものがないかもしれないのに自分自身をだまして外に投影している。

ちょっと話がかわって、

アキレス:「シムボール」を見張っていてシムボール活動の「表現」を作り出すような、内向きの変換器というものがあるのかな?


それがあるとして

アキレス:どうやってシムボールを「見る」んだい? 、、、、
そもそも、そういうシムボールはどういう目的であるんだろう?


亀の説明は次の通りです。
シムボールの位置ずれによってシステム全体に震えが生じる。その震えを「心震」と呼ぶことにする。「心震」にはそれぞれ固有の特徴があって、動玉箱の中にはその特徴をとらえる心震計シムボールがある。心震計もシムボールに他ならないから、また別の震えを引き起こす。つまり、常にシムボールの活動が動玉箱内をいったりきたりしているのである。これが意識のあるシステムで起こっていることである。そして、自分自身を監視できる動物は、周囲環境の精巧な表現を内部にもつことができるため、行動の選択に幅がある。そういうものを「思慮」とか「熟考」とか「内省」と呼んで「反射」から区別することができる。

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2007.04.27 | | Comments(0) | Trackback(0) | その他の本

フルカラービジョンマウス

遺伝子操作によりマウスには本来備わっていない光色素を持つマウスを作り、色知覚が通常のマウスとどのように違うかを調べた論文が、先週のSCIENCEに掲載されていました。

私たちが色を知覚できるのは、異なる光の波長に応答できる視細胞を3種類持っているからです。短い波長に応答する視細胞はS錐体、中間の長さの波長に応答する視細胞はM錐体、長い波長に応答する視細胞はL錐体と呼ばれています。私たち以外の霊長類も3種類の錐体細胞を持っています。けれども、マウスを含む他のほ乳類は2種類、S錐体とM錐体しか持っていません。そのため、私たちとは色彩感覚がだいぶ異なっているのではないかと考えられています。

この論文ではマウスにヒトのL錐体の光色素遺伝子を発現させて、どのように色を知覚するようになるのかを調べています。その結果、SとMしか持たないマウスは500nmの光(緑)と600nmの光(赤)を区別できなかったのに対し、S、M、Lの三つの錐体をもつ遺伝子改変マウスは500nmと600nmを区別ができるようになりました。さらにもっと細かい波長の違い(たとえば580nmと600nm)も区別できるようになりました。ちなみに、M錐体は510nm付近の光にもっともよく応答し、L錐体は560nm付近の光にもっともよく応答するそうです。

錐体細胞の種類をひとつ増やしただけで異なる色知覚を持ったということは、新しいセンサ(L錐体)をうまく使えるような、普通のマウスとは異なる脳のネットワークが形成されたということです。錐体細胞以外の遺伝子は変えていないので、脳のネットワーク自身に新奇のセンサを活用できるような可塑性が備わっていると考えられます。
このことから霊長類へ進化したときのことを考えてみると、まずはじめに錐体細胞が2つから3つに増え、そのあとで新しい錐体細胞から得られる情報をより上手に利用できる脳内ネットワーク関連の遺伝的変化が生じたのではないか、とのことです。

2007.03.27 | | Comments(6) | Trackback(0) | 論文の紹介

GTD

Getting Things Doneです。

やらなければいけないことをすべて書き出して、効率的に仕事をこなすための方法です。ポイントはやらなければならないことや気になっていることをすべて書き出すこと。一度、全部書き出せば頭がすっきりして、気兼ねなく想像的な仕事に従事できるようになるそうです。

コンピュータ上でGTDを実践するための方法はいくつかあるようです。最近、GTD Style Wikiというものを使いはじめました。GTD Style WikiはTiddlyWikiというのをGTD用に改良したものらしく、非常に簡単に使うことができます。とくにTicklerFileというカレンダー形式の表示が役に立ちます。今日のToDoが表示され、また前日までにやらなければならなかったことが赤字で表示されます。月別のToDoも表示できます。ローカル用ですが、htmlファイルなのでネットワーク上でも簡単に使えると思います。

2007.02.22 | | Comments(4) | Trackback(1) | 雑記

世界の究極理論は存在するか 5仮想実在

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この章では、仮想実在という思考実験を通して、私たちの知や認識の本質を考えようとしています。

飛行シミュレーター、プラネタリウム、ハイファイオーディオなどユーザーに特定の感覚を作り出せる装置を”イメージ生成装置”または”仮想実在生成装置”とよぶ。この装置はユーザーの外部にある何らかの環境(実際の飛行機、夜空、演奏)をユーザーに体験させる。この装置によって引き起こされる体験を”外的体験”と名付ける。一方、外的体験と対比させて、驚きとか緊張とかを内的体験と呼ぶことにする。仮想実在生成装置によって特定の内的体験を与えるようにすることはできない。2回続けて同じイメージを提示したとき、必ず同じ外的体験を与えるが、内的体験は1回目と2回目で異なる可能性があるからだ。内的体験の生成装置は将来的に可能かもしれないが、正常な心の機能に影響を与えるので仮想実在生成装置には含めないことにする。

仮想実在生成装置に対して、4章で見た独我論に対する反駁方法”蹴り返し”が無効になるのだろうか。そうはならない。仮想実在を生成したコンピュータは物理的実在であり、このコンピュータが蹴り返す。独我論の議論に実際のものか仮想的なものかは関係ない。結局、実在的なものをなんでも簡単に確認できるわけではないということである。

仮想実在生成装置は、究極的には、脳の信号を読み取る装置、脳へ信号を送る装置、そして、それらを制御するコンピュータのセットと考えることができる。脳の信号の解読は難しいかもしれないが、一度解決すれば、仮想実在生成装置の焦点は、ユーザーにさまざまな環境を提示するためにどのようにプログラミングするかという問題になる。言い換えれば、どんな環境なら明確に指定できるかという問題になる。

結局、われわれが体験するどのような外的体験も直接的ではない。外的体験はすべて仮想実在の体験である。そして、仮想実在が可能であるということは、あらゆる学問や想像、芸術、虚構の基礎となっている。


目次

1 万物の理論
2 影の宇宙
3 問題と解決
4 実在の基準
5 仮想実在
6 計算の不偏性と限界
7 正しさの根拠をめぐる対話
8 生命の宇宙的意義
9 量子コンピュータ
10 数学の本性
11 量子的な時間
12 タイムとラベル
13 四本の撚り糸
14 宇宙の終わり

2007.02.21 | | Comments(0) | Trackback(0) | 世界の究極理論は存在するか

現象の説明

自然言語で私たちはなんでも説明する。日常会話や書籍など、なんでも自然言語を通してメッセージを送る。

ところで、科学においては自然言語が活躍できる範囲が狭まるようだ。いや、むしろ説明を聞く側により多くの予備知識を要求し、その要求によって自然言語の利用が押さえられているといえる。ここでいう予備知識とは、説明の背景にあるもう少し厳格な枠組み(各種自然科学における理論や数学)のことである。

よくわかっていない現象を説明するのに、別のよくわかっていない現象を用いて説明している場合を見受ける。これでは説明になっていない。説明しなければならない事が依然同じくらい存在するからだ。また、既存の理論どうしをあたかも適切に繋げて、よくわかっていない現象を説明している場合もある。この場合は、なぜそれらの理論を繋げられるのか、それから明確にしなければならない。

とくに知覚、認識、運動などの現象を説明する際には、実行可能なアルゴリズムや計算理論に落とせるほどの詳細な説明ができなければならないだろう。なぜなら、私たち自身、実際にそれを行っているのだから。

2007.02.13 | | Comments(0) | Trackback(0) | 雑記

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